緊急時患者カードを
持とう!
Have an Emergency Patient Card!
緊急時患者カードとは
緊急時患者カードは、血友病やフォン・ヴィレブランド病をはじめとする血液凝固異常症の患者さんが、かかりつけ以外の医療機関を緊急で受診したり、救急車で搬送されたりした時に、医療者へ必要な情報を迅速かつ正確に伝えるためのものです。

緊急時患者カードで
できる3つのこと
-
1
救急隊が血液凝固異常症の診療が
可能な医療機関を選定し、
搬送できる。 -
2
救急隊や受診した医療機関から
かかりつけの医療機関に
連絡・問い合わせができる。 -
3
ふだん受診していない医療機関でも
速やかに適切な診療を
開始できる。
なぜ緊急時患者カードが
必要なのか
近年、治療の進歩により、血液凝固異常症をもつ方の平均寿命は一般の方々と大きく変わらなくなり、活動的な社会生活を送る患者さんが増えています。その反面、生活習慣病・加齢疾患を発症したり、様々な合併症や大けがによって、ふだん通院している病院以外の医療機関に搬送されたり、受診したりする患者さんも増加しています。
しかし、血友病診療拠点病院(ブロック拠点病院・地域中核病院)以外の救急医療機関では、血液凝固異常症の専門医がいないこともあり、血友病やフォン・ヴィレブランド病を含む血液凝固異常症の治療製剤の十分な在庫がない場合が多いため、適切な対応が難しくなってしまいます。
緊急時患者カードを
携帯するメリット
適切な病院に搬送される
可能性が高くなる
緊急時、救急隊が搬送先を決定する際に、治療製剤の在庫がある血友病診療拠点病院を選んでもらえれば、より確実に適切な治療が可能となります。

迅速に対応してもらえる
かかりつけとは異なる医療機関で治療を受ける場合には、病状を適切に受診先の医師に伝える必要があります。緊急時患者カードには、診断名、インヒビターの有無、凝固因子活性値、使用中の製剤名、投与量も記載されており、より迅速に正確な情報を伝えることができます。
また、「救急領域における止血機能異常症の診療ガイド」を提供する WEB サイト「止血ドットコム」へのリンク(二次元コード付き)も記載されており、迅速なアクセスが可能です。これにより、医療者が必要な情報をすぐ確認し、治療を円滑に進められるよう工夫されています。

入手・作成方法
成人は、各自治体から医療費助成の関連書類とともに配布されています(一部の自治体を除く)。
小児は、患者会や製薬会社を通じて配布されています。
・かかりつけ医に必要事項の記入を依頼し、緊急時に備えてふだんから携帯してください。
・カードがまだ手元にない方、追加のカードが必要な方は、一般社団法人日本血液凝固異常症調査研究機
構事務局(toiawase@jbdro.org)までお問い合わせください。
一般・患者の皆様の
お問い合わせはこちら
有効活用されるための工夫
緊急時患者カードは、患者さん自身が提示することを前提としていますが、意識喪失時など自ら提示できない場合には、救急隊や受診(搬送)先の医療者に発見される必要があるため、工夫が必要になります。
・必ず、常時携帯してください。
・救急隊が最初に探す身分証明書(免許証・健康保険証など)やおくすり手帳と一緒に携帯してください。
・カードを複数枚作成し、かばんや財布に入れたり、自宅の冷蔵庫などに貼ったり、目に触れやすくしてください。

診療拠点病院
(ブロック拠点病院・地域中核病院)
の有効活用
2022年度の調査1)で、血友病やフォン・ヴィレブランド病の治療製剤は、救急医療機関であっても血友病診療拠点病院でなければ常備されていないことが分かりました(血友病診療拠点病院以外の救急医療機関における在庫頻度は15~40%程度)。
そのため、緊急時に迅速かつ適切な止血治療を受けるには、血友病診療拠点病院に搬送してもらうことが重要です。
また、緊急時に十分な処置・治療対応を行うためにも、かかりつけ医と相談の上、年に一度、血友病診療拠点病院への受診をお勧めします。その際、緊急時患者カードに救急対応医療機関として、受診した血友病診療拠点病院の名前を記載してもらいましょう。

受診した血友病診療拠点病院の
名前を記載してもらいましょう。
1)厚生労働科学研究費補助金(エイズ対策政策研究事業)『HIV感染血友病患者の救急対応の課題解決のための研究』令和4年度総括研究報告書(研究代表者:日笠聡) 2023. https://mhlw-grants.niph.go.jp/project/164425